まさの森・動物病院
MASA-no-MORI Pet Clinic
-石川県金沢市の動物病院-

まさの森動物病院は、犬猫、エキゾチックアニマル診療・予約診療・往診を行う石川県金沢市の動物病院です。
診察は完全予約制です。来院前にお電話ください。

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ハリネズミの症例紹介

ハリネズミさんのお話

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先日ハリネズミさんが来院されました。
この子はヨツユビハリネズミという比較的小さな品種のハリネズミさんです。
ヨツユビハリネズミの平均体重は500g〜700gとされていますが、この子は約750g!圧巻のサイズです。
多少ぽっちゃり体型ですが元々の骨格も大柄なので、健康状態は何の問題もなく良好でした(皮膚検査及び便検査済み)。

ヨツユビハリネズミは、アフリカから来た動物です。
アフリカと日本では環境が全く違うため、日本の環境下では生存できないと考えられていました。ところが、近年日本の自然に帰化してしまったハリネズミが報告されています(自力で生きているということ)。

そのため、現在ハリネズミは特定外来種に指定されており、決して野に放ったりしてはいけないのです。
元々日本にいた動物ではないものが、日本の自然界で繁殖することがあると、日本元来の生態系が崩れ、土着の生物が減ってしまい、しいては日本特有の希少な生物の絶滅に繋がるという事も起こりえるのです。

ということは、逆に言えば、基本的にペットとして輸入販売されている外来種の動物というのは「日本の自然界では生きて行けない」ということなのです。
飼育すると決めたら最期まで大切にお世話しなければ、彼らに明日はないのです。また、うっかり脱走してしまうことの無いように注意してあげなくてはいけないですね。

もちろん、特定外来種に限らず、ペットを野に放ってはいけないのは当然のことです。

とにかく、
昨年の11末に開院して以来、何匹かのハリネズミさんが来られましたが、この子はダントツ大きな子でした。

体格の大きさに加え少々ふくよかなため、回し車から若干はみ出している、とのことです。
今回はお顔がうつせませんでしたが、次に会うときにはお顔を写真におさめたいなと思います。

ハリネズミさんの腫瘍切除

ハリネズミ
まさの森•動物病院では、先日ハリネズミさんの腫瘍の切除術がありました。

犬や猫などのサイズの動物に関しては、術中、器官挿管して麻酔と呼吸の管理を行います。しかし、ハリネズミさんやハムスターさん、鳥さんなどの動物たちは器官挿管せずにガスマスクによる麻酔と呼吸の管理をしながらの手術をします。

今回のハリネズミさんも麻酔ガスの充満したケースに入り、しばらくすると夢の中。ぐっすり寝ているのを確認して、手術開始です。

まずは腫瘍周辺の毛刈りをするのですがハリネズミの毛は皆さんご存知の通り、固い針でできています。
腫瘍の周辺の針を一本一本、小さなペンチで根元から切り取っていきます。
その後消毒を済ませ、切除に移ります。
今回の腫瘍は、皮下の小さな腫瘍だったので30分もかかりませんでした。

麻酔から覚めると、いつものようにしっかりと丸まって鉄壁のディフェンスポーズをとっていました。

犬や猫みたいに普段から体を撫でたりしてコミュニケーションをとる訳ではないうえに、針で隠れてしまうような大きさの出来物だったので、日頃からよく観察している飼い主さんなのでしょうね。
小さなうちに発見し、手術できたことは不幸中の幸いです。

これからも元気に長生きして欲しいです。

ハリネズミのクリプトスポリジウム症

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今回ご紹介するのは、緑色の下痢をしているハリネズミさんのお話です。

金沢にもハリネズミカフェがオープンし、もしかしたらハリネズミブームが到来しているのかもしれません。当院でも最近はハリネズミさんを見ない日はないくらい、毎日のようにハリネズミさんが来院されるようになりました。

新たにハリネズミの飼育を考えている人も、既に飼育されている人も知識として知っておいても良いのかなと思う感染症の一つに今回のクリプトスポリジウム症があります。

というのも、この感染症は飼い主さんにも感染してしまう危険性のある病気だからです。
この病気はクリプトスポリジウムという寄生虫が消化管内に寄生し、腸の粘膜を荒らし下痢や食欲不振、その結果として痩せてきてしまいます。

便の中にこの寄生虫が排出されるので、ハリネズミの体表に付着した糞便がふれあいに伴って、飼い主さんの体内に入って、感染が成立してしまう可能性があるようです。

適切な治療によって、症状は改善されることが多いとは思いますが、なかなか完治は難しく、現状ではうまく付き合っていくこと他はないのかなと思われます。
当然のことだとは思いますが、動物とのふれあいの後は手洗いなどの一般的な公衆衛生を守ってくださいね!また、健康そうにみえても定期的に健診などで気軽にご来院くださいね!


ハリネズミの皮膚真菌症

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今回ご紹介するのは、フケが多いハリネズミさんのお話です。

以前にハリネズミの疥癬症をご紹介しましたが、それに症状はとても似ています。見た目には違いが分からないかも・・・。

痒みがあり、体を掻きむしった結果としてフケが落ちます。針も抜けたりします。

フケの出方が疥癬症とはちょっと異なりますが、違いは分からなくてもいいと思います。上記の様な症状があったらとりあえず病院へ!

検査をすれば概ね分かると思います。

カビの場合は顕微鏡で分からない場合もあるので、培養検査を実施して採取したフケや毛のサンプルからカビが生えてくるか確認します。
それに対して、疥癬症はダニが原因なので、顕微鏡でわかることがほとんどです。

治療方法も異なりますので、これは検査して診断してからの方がいいかもしれません。


ハリネズミの歯周病

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今回ご紹介するのは、ハリネズミさんの歯周病のお話です。

ハリネズミさんは診察をしようにも、丸まってしまう事が多く、きっと獣医師の何人かは詳しい診察を諦めてしまう原因の一つになっているのではないかと思ってしまいます。

口の中をみたいと思っても、すぐに丸まってしまい、歯周病や口腔内の腫瘍などの病気がかなり進行しないと飼い主さんも気がつかないということも。

そういった事に加えて、ハリネズミ用の食べやすいフードが一般的に流通するに伴い、ハリネズミさんが食べ物を咀嚼するという「不自由さ」も無くなりました。負荷がかからなくなった歯はぼろぼろになるのも早くなってしまいます。使用頻度が減り、体が「不要」だと判断したものはそこでの無駄なエネルギーを消費しないように・・・効率化を理由に「排除」していきます。

そうやって、歯周病は進行していくのではないのかなと・・・。人間だから歯磨きは習慣化できますが、犬や猫は大変ですし、ハリネズミに至ってはほぼ困難だと思われます。

理由がある不自由さは必要なんだと思います。


ハリネズミの疥癬症

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今回ご紹介するのは、健診で来院されたハリネズミさんのお話です。
動画はこちら

以前にもご紹介しましたが、ハリネズミさんの疥癬症はとても多く、初めましてのハリネズミさんの半分以上でこの「疥癬症」に罹患しているようです。

おそらく、ブリーダーさんのところをはじめ、最初から感染している状態でペットショップなり、各ご家庭にご家族として迎え入れられるのではないかと思われます。

疥癬症の症状としては・・・
・ 体をしきりに掻いている
・ ふけが多い
・ 針が抜け落ちる
のいずれかが必ずみられます。

トゲトゲの背中を後ろ足で起用に掻いている姿はとても愛らしくもあるのですが・・・

疥癬症もハリネズミさんではかなり蔓延している病気なので、一度健診も含めてご購入したら最初に動物病院を受診されることをお勧めします!

ちなみに、人間にはうつりません。

ハリネズミの乳腺腫瘍

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今回ご紹介するのは、乳腺腫瘍になってしまったハリネズミさんのお話です。

犬や猫では一般的に避妊手術をしていない雌で高齢に伴い発症するリスクが高くなると言われています。他の動物種ではその辺りはよくわかってはいませんが、基本的には女性ホルモンに関連して乳腺腫瘍が発生するのではないでしょうか。

ただ、例外的にモルモットでは雌よりも雄で乳腺腫瘍の発生が多いと言われています。原因に関してはまだ研究段階といったところでしょうか。

今回のハリネズミさんは女の子で乳腺が腫れてきたということで来院されました。触診では確かに乳腺に3cmほどのしこりがあるのが確認されました。細胞診を実施したところ、やはり腫瘍が疑われましたので外科的に切除することになりました。

手術は無事終了、切除した組織を病理検査に提出したところ、やはり乳腺癌という診断で返ってきました。

診断名に「癌」とつくと「悪性」の腫瘍を意味します。
他への転移を疑う所見が確認されたため、今後の経過を慎重にみていく必要があります。

ハリネズミの唾液腺の膿瘍

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今回ご紹介するのは、頬がぽんぽんに腫れてしまったハリネズミさんのお話です。

異常を異常だと判断するためには何が必要だと思いますか?

正常を知ることですね!
正常にもいくつかパターンがありますので、そのイレギュラーな正常パターンも覚えないと正常を異常だと間違えてしまいます。

僕ら獣医師はいかにその動物の正常なパターンをいくつ知っているかが病気を見つけるのにとても大切な力になるのです。

今回のハリネズミさんは、頬が腫れてしまったということで来院されました。
ハムスターやシマリスの様に頬袋がある動物で頬が腫れていても異常ではない可能性の方が高くなります。

さて、ハリネズミさんには頬袋があるのでしょうか?

はい、ありません!

このハリネズミさんは検査の結果、唾液腺に感染を起こして膿が貯まってポンポンに腫れてしまいました。

必要な処置をして元気になってくれました!


ハリネズミの健康診断と歯石とり

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今回ご紹介するのは、ハリネズミさんの健康診断のお話です。

最近はほぼ、毎日ハリネズミさんが来院されるくらい、ハリネズミさんを飼われているかたが増えてきました。またそれに伴い、病気になったら病院に連れてくるという意識が高くなったのはもちろんのこと、健康診断として定期的に来院される飼い主さんも増えてきました。

早期発見、早期治療ができるようになりつつあるのかもしれませんね。

今回も健康診断で来院されたハリネズミさん、今回は口腔内の検査をしているときに、奥歯に歯石があるのが確認されました。検査のために眠っているので、ついでに出来る簡単な処置も一緒にしてしまいました。

爪切りと、歯石とりと・・・眠っている間でしたので、気がつかずに検査も処置も終わりました!頑張りましたね!!

血液検査、レントゲン検査では特に大きな異常はありませんでした。
本当に良かったですね!!

やはり、ハリネズミさんもだいたい半年に一回の健康診断でしょうか。
また、定期的に診せてくださいね!


ハリネズミの眼球突出

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今回ご紹介するのは、左右の眼球から出血を繰り返したハリネズミさんのお話です。

これまでにも他の動物達での眼球突出(目が飛び出してしまう症状)に関してご紹介してきました。
ウサギの胸腺腫という腫瘍で眼球が突出したり、フトアゴヒゲトカゲのリンパ腫という血液の癌でも起こったり、奥歯の感染があって起こったりなど動物種によっても眼球突出にはいろいろ原因があることをお伝えしました。

今回のハリネズミさんでは原因ははっきりとはしませんでしたが、自分で目をひっかいて出血を繰り返して目が飛び出してしまいました。そして、残念なことにすでに失明しているようでした。

このままでは自分でひっかくことでさらに眼球突出がひどくなり、感染や出血を繰り返す可能性が高いこと、すでに失明している可能性が高く眼球の温存のメリットがあまりないことから両目の摘出手術を行いました。

手術は無事に終わって、しばらくしてご飯を食べてくれました。ハリネズミさんに関しては目が見えなくなってもすぐれた嗅覚によってそこまで普段の生活に支障がないことの方が多いように思います。

眼球を摘出することに対しては飼い主さんも本当に悩まれたと思います。手術のリスクを考えても、これ以上生活の質を低下させないためにも眼球摘出をしてよかったと、僕も思います。


ハリネズミの耳介辺縁真菌症

20160330

今回ご紹介するのは、耳の端っこにカビが生えてしまったハリネズミさんのお話です。

ハリネズミさんの診療数は増える一方、本当にここ最近になって普通に病院に来院されるということもあってまだまだどんな病気が多いのか分かっていないのが現状です。

そんな中、この前のエキゾチックペット研究会の症例発表会である病院でのハリネズミさん231症例に発生した疾病を調査したところ、疥癬ダニ症が全症例中110症例(47.6%)で発生がみられたとありました。また皮膚真菌症は20症例(8.7%)だったそうです。

当院ではしっかりと調査したわけではありませんが、疥癬ダニ症は確かに多くみられます。今後、当院でも各動物種でどんな病気が多いのか調査してみると傾向と対策がみえてくるかもしれません。

今回のハリネズミさんは8.7%に該当する皮膚の真菌症でした。
当院でもハリネズミさんの真菌症はそこまで多くはありませんが、時々来院されます。真菌(いわゆるカビ)の培養検査を実施して診断します。

カビをやっつける治療は抗真菌薬を内服で継続します。
原因が分かり、それに伴った治療をすれば予後も良く、今回のハリネズミさんも良好な経過をたどりました。


ハリネズミの口腔内腫瘤

20160308

今回ご紹介するのは、口の中にできものができてしまったハリネズミさんのお話です。

このハリネズミさんも隣の県から当院を受診されました。近隣の病院での治療の甲斐なく、改善がみられないということで、当院にて積極的な治療をご希望されました。

全身麻酔にて、レントゲン検査と口腔内の検査を実施しました。

その結果、口腔内に出来ていたものは約3cmの卵状の腫瘤で腫瘍の可能性が示唆されました。200g程度のハリネズミさんでは3cmを越える腫瘤が口の中に出来てしまうと、それだけで口を閉じる事が出来ずうまくご飯が食べる事が出来ないような状態になっていました。

そのまま、頬を切開して腫瘤の根元までアプローチして周囲の血管や顔面神経に注意しながらできるだけ腫瘤を剥離して摘出していきます。

うまく、切除することができました。
これでなんとか、口を閉じてご飯を食べる事ができると思います。

あとは、この腫瘤がいったいなんなのか、病理組織検査に提出して結果を待ちます。術後の経過も良好で、ご飯も食べて顔面神経麻痺もなさそうです。

とりあえず今出来る事はしましたので、いい結果が返ってくる事を期待して。


ハリネズミのアンチング

20160210

今回ご紹介するのは、健康診断で来院されたハリネズミさんのお話です

今月末までになりますが、当院では健康診断を積極的にオススメしております。
各種健康診断で実施される検査が「すべて1割引」となりますので、この機会にお気軽にご相談くださいね(検査で確認された病気に対する割引はありません)。

そんなこんなで今回は健康診断で来院されたハリネズミさんの一場面をご紹介します。

ここ最近はハリネズミさんを飼育されるかた増えてきております。それに伴い、いろいろな病気で来院される方や、健康診断で来院される方、それらで来院されたときに飼育管理に関してご相談される方が多いようです。
飼育される方が増えてきたとはいえ、本当にここ数年でペットショップでも普通にみられるようになった動物なので、まだまだ分からないことも多いとは思います。

そして、私もその意味が不明な行動の一つに今回の写真にあるような「アンチング」という行動があります。
口の中を唾液でアワアワにした後、舌をのばしながら背中の針にベタベタと塗りたくるのです。初めてみるとこの変な行動にびっくりされるのではないでしょうか。

一説には天敵の嫌がる唾液の匂いや毒を針に塗るため、とか、針を綺麗にしたり害虫の駆除のためとか言われているようです。

きっと不慣れな環境でびっくりして、僕を敵だと思ったのかもしれません。