

まさの森・動物病院
MASA-no-MORI Pet Clinic
-石川県金沢市の動物病院-
まさの森動物病院は、犬猫、エキゾチックアニマル診療・予約診療・往診を行う石川県金沢市の動物病院です。
診察は完全予約制です。ご来院前にお電話ください。
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今回ご紹介するのは、膀胱に結石ができてしまったケヅメリクガメさんのお話です。
ケヅメリクガメはゾウガメに次いで世界で3番目に大きくなるリクガメで、頭からお尻までで1m弱、体重は100kgを越える場合もあるとされています。しかも、数年でそのサイズに至ってしまうので(飼い方や個体差にもよりますが)、一般のご家庭で飼育するのはなかなか大変なリクガメさんだと思われます。
そんなケヅメリクガメさんですが、アフリカのサハラ砂漠より南に生息するカメさんで比較的高温で乾燥した場所にいます。なので、それを知っている方はそれを信じて水をあまり飲まないので、ほとんど与えないで飼育されている方がいらっしゃいます。
そうすると、今回のように水分不足から尿が濃縮され時間をかけて膀胱内や総排泄腔内で結石となってしまいます。
食欲もなくなり、便もでなくなってしまったり、このまま放置してしまうとやはり死んでしまいます。
ここまでに至ってしまうと、さすがに摘出する手術が必要になってしまいます。麻酔も必要になることも多いので、なかなか大変です。
今回ご紹介するのは、卵が詰まってしまった蛇さんのお話です。
女性にも大人気の“ヘビ”の一つとして一部の方には知られている「コーンスネーク」ですが、もちろん知らない方がほとんどだと思われますので、少しコーンスネークについてお話したいと思います。
北米に生息するヘビで日本固有種である「アオダイショウ」に対して「アカダイショウ」とも呼ばれています。その名の通り、赤やオレンジ、黄色といった色が配色されていますが、実際にみてみた方が早いでしょう(写真参照)。世界中で人工的に繁殖され様々なカラーバリエーションが作られています。
性格も温和で基本的には咬む事はありません。日本では申請が不要で飼育可能なヘビはすべて、毒はもっていません。基本的な公衆衛生管理ができれば感染症も特に問題ないとおもわれます。
ご飯も冷凍マウスなので、一般的に流通しています。毎日食べる訳ではないので、1ヶ月の食事代としても500-1000円程度だと思います。ケージも簡易なものだとプラケースでも大丈夫ですし、あとは温度管理で少し費用がかかるかもしれません。
さて、今回のコーンスネークさんですが、最初から卵詰まりの疑いで来院されました。
というのも、すでに何個か卵を産んでその後も、お腹の膨らみがあるにも関わらず産卵が確認されなかったためです。(ちなみに爬虫類も鳥類と同じく、無精卵を産む事があります)
鳥さんの卵詰まりで何度かお話したように、卵詰まりは人間でいう「難産」に該当します。何らかの理由で産む事ができなくなっている状態です。命に関わるかもしれません。
お母さんの状態にもよりますが、なるべくはやく卵を出さなければなりません。
触診、レントゲン検査、エコー検査などで卵の位置、個数、状態を確認します。
圧迫で出せそうなら、少しずつお腹を圧迫して無理なく出していきます。
卵管の感染が疑われましたので、抗生剤の投与と細菌の培養検査を実施しました。
とりあえず、今回は3個の卵を取り出す事ができました。(あと1個残っています)
状態をみながら、摘出を試みる予定です。
動画はこちら
今回ご紹介するのは、脱皮が上手くいかず皮膚に穴があいてしまったアオジタトカゲさんのお話です。
アオジタトカゲはオーストラリア全域に生息するトカゲで、名前にあるようになんといっても舌が青色なのが特徴です。体の表面はつるっとしていて触り心地も好きな人はきっと好きなのではないでしょうか。皆さんにはあまり馴染みのないトカゲかもしれませんがトカゲの中でも比較的丈夫で性格も温和な個体が多く、飼育しやすい種の一つだと思います。
ちなみに、ツチノコの正体はこれじゃないかと、言われているようです。
今回のアオジタトカゲさん、脱皮不全が続いてしまい、頭部に脱皮片が付着してそれが感染源となって皮膚に穴があいてしまいました。
どうやらカビが生えてしまったようです。
爬虫類は代謝が遅いのもあって、治癒には時間がかかることが一般的です。
飼育環境も見直して、治療を続けていきましょう。
今回ご紹介するのは、ガリガリに痩せてしまったヒョウモントカゲモドキさんのお話です。
ヒョウモントカゲモドキは僕らと異なり、長期間ご飯を食べなくても生きていけるような生理学的特徴を備えています。その一つが栄養分を尻尾に蓄えておけるというものです。健康状態がいいヒョウモントカゲモドキさんは全体的にふっくらしているだけでなく、しっぽがポンポンに膨らんでいます。
したがって、栄養状態が悪い場合や、何か病気が背景にあってご飯を食べる事ができなくなっている場合は、体重の減少に伴い、しっぽがしぼんでいってしまいます。
かなり顕著にしっぽがしぼんでしまう場合、今回のクリプトスポリジウムという寄生虫感染症が疑われます。
この寄生虫に感染してしまうと、徐々に体重が減少し食欲も低下して行きます。便も少量になり、下痢をするようになってしまいます。
治療法はあるものの、寄生虫の完全駆除は現状では困難だと言われています。
投薬を続けていれば、元気も食欲も改善し、体重も増えていきますが、投薬をストップするとまた再発してしまいます。
周りのヒョウモントカゲモドキにも感染してしまいますので、他個体へ感染させないように注意が必要です。
今回ご紹介するのは、お腹の皮膚がただれてしまった蛇さんのお話です。
どんな便利なものでもそうなのかもしれません。
使い方を誤ると大きな怪我をしてしまいます。
今回の蛇さんもそうですが、ホットカーペットで「低温やけど」をしてしまうわんちゃんが、これからの季節で案外多くみられます。
特に蛇の場合、同じ姿勢で同じ場所にじっとしているので、その下にパネルヒーターがあると知らない内に低温やけどをおこしているケースがあります。
低温やけどはネーミングとは裏腹に症状はかなりひどく、皮下組織の奥にまでダメージがあるため筋肉が露出するぐらいまで皮膚が壊死して脱落し、ただれてしまいます。(写真参照)
蛇にパネルヒーターはかなり一般的な飼育方法なのかもしれませんが、こういう事故が絶えないところをみると、パネルヒーターによる保温管理は適切ではないと断言してもいいのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、水中ヒーターを食べてしまったスッポンさんのお話です。
スッポンといえば、皆さんは滋養強壮効果のある貴重な食べ物と認識されている方がほとんどではないでしょうか。
そういう方にとっては「えっ!スッポンをペットとして飼育しているの!?」となっても不思議ではないのかもしれません。
でも、食用とされている鶏やブタだって家族の一員として一緒に過ごされている方もいらっしゃいます。
今回のスッポンさん、水温をあげるための水中ヒーターをあやまって食べてしまったという事で来院されました。どうやら、ご飯を吐き戻しているようです。
これは、異物として消化管のどこかで詰まっている可能性が考えられます。まずはレントゲン検査でしょうか。もし、問題を起こしているのであればレントゲンで写ってくるはずです。
検査結果、水中ヒーターの破片を疑うような異物は確認できませんでした。おそらく、たいした量はたべていないか、粉々になった一部が消化管内にあるか。いずれにせよ問題ないレベルだと考えられたため経過観察としました。
検査でも終始、協力的だったスッポンさん。
その後、嘔吐もなく元気食欲も改善して、いい便をしてくれたと連絡がありました。もう大丈夫でしょう!
腸閉塞となった場合、やはり全身麻酔でお腹をあけて・・・ってなると思います。
今回ご紹介するのは、お尻の横が腫れてきたヒョウモントカゲモドキさんのお話です。
トカゲの仲間での来院数で一番多いのがこのヒョウモントカゲモドキさんでしょうか。小さなお子さんから、20?30代の方まで比較的幅広く爬虫類のペットとして認知されつつあるのかもしれません。
今回のヒョウモントカゲモドキさん、お尻(総排泄孔)の横が腫れてきているということで来院されました。みてみると、確かにお尻の横が腫れており、赤紫色に変色していました。触ると嫌がります、痛いのかもしれません。
お尻から綿棒を入れてその膨らみを精査してみると、中から膿が出てきました。まるでチーズのような塊でした。便や尿を貯めておく袋で感染を起こしてしまったのかもしれません。
出来るだけ、膿を排泄して洗浄したのち、抗生剤の注射と内服を処方しました。
1週間後、大分腫れも引いて皮膚の色も改善してきました。
ただ、一度膿が貯まる空間が形成されてしまうと再発に注意が必要です。
今回ご紹介するのは、足に黄色いできものができてしまったロシアリクガメさんのお話です。
体の表面に「できもの」を発見した時、きっと多くの飼い主さんは「腫瘍」を疑うのではないでしょうか。
「腫瘍」に対するイメージはやはり「死」を連想してしまうのかもしれません、とても不安な気持ちで来院される方が多いように思います。しかしながら、実際は腫瘍じゃない場合もありますし、良性であれば命に関わらないことがほとんどです。
なので、その不安を払拭するためにも、できものを発見したらまずは診察してみましょう!
今回のロシアリクガメさんも、後ろ足の付け根に黄色いできものができたということで来院されました。検査した結果、細菌感染が原因で形成される「膿瘍」というものでした。
これは、命に関わる事は少なく、ほとんど完治します。
膿を摘出して、きれいに治りました!
良かったですね!!
今回ご紹介するのは、目が開かなくなったオオヨロイトカゲさんについてです。
当院の症例紹介では初めての登場となる大変珍しいトカゲさんなので、少しご紹介させていただきます。ヨロイトカゲはアフリカ東南部に生息するトカゲの一種です。写真のように顔から尻尾までトゲトゲで全身がゴツゴツした固い鱗に覆われており、触ると痛そうでとても強そうに見えますね。
ヨロイトカゲの中ではヒナタヨロイトカゲが一般的に流通していますが、今回のオオヨロイトカゲやアルマジロトカゲは流通量も少なく、販売価格50万円を越えるお店もある非常に高価でレアな爬虫類の一種となっております。
そんなオオヨロイトカゲさんなんですが、今回は両眼とも開かなくなってご飯も食べなくなったということで来院されました。診察してみると、確かにまぶたを固く閉じてじっとしていました。こういうときは、目に問題があるのではなく、口の中など他に問題があると考えて精査していかなければなりません。
まず口の中を見てみると、ネバーとした唾液が分泌され独特な匂いがします。特に上顎でひどく、検査の結果口腔内の感染症が原因で目にまで炎症が波及してしまったと考えられました。給餌内容から栄養的な問題もありそうです。
なので、治療はビタミン剤と抗生剤の注射を行い、点眼を併用しながら経過観察としました。
それから、約10日。目もぱっちり開いて元気そうな表情。もう大丈夫でしょう!
爬虫類の口腔内感染症は比較的多い病気です。再発に注意していかなければなりません。
今回ご紹介するのは、喉がポンポンに腫れてしまったサルバトールモニターさんのお話です。
サルバトールモニターは中国やタイなど東南アジアに広く分布する大きいトカゲの一種で最終的には2m近くにまで成長します。なので、大きめのケージまたは室内で環境を整えて、一緒に生活されるかたもいらっしゃいます。
食性は完全な肉食で、冷凍マウスやウズラなどが爬虫類用の餌として販売されているので、飼育に関してはある程度確立した感じはあります。
今回のサルバトールモニターさん、餌としてあたえているマウスに喉元を噛まれてしまい、その後ポンポンに腫れて来てしまったということで来院されました。触ってみると、確かにポンポンです。
触診で推測できましたが、エコー検査かレントゲン検査で確認が必要です。
レントゲン検査をしてみると、空気が貯まっていました。皮下気腫です。
もしかしたら、気管に穴があいているのかもしれません。
治療としては、針で皮下に貯まった空気を抜くのと、噛まれた場所の感染の治療をしていきます。抜いても何度か空気は貯まってしまうかもしれませんが、繰り返す内に小さな穴なら修復され、貯まらなくなる事が一般的です。
今回ご紹介するのは、後ろ足を引きずって調子が悪そうなローソンアゴヒゲトカゲさんのお話です。
ローソンアゴヒゲトカゲはオーストラリアに生息しているトカゲの一種です。(同じく人気があるトカゲの一種であるフトアゴヒゲトカゲといろいろな共通点があります)
簡単にいうと、フトアゴヒゲトカゲを手のひらサイズにまで小さくしたような感じでしょうか。飼育方法も比較的確立しており、飼いやすい品種の一つとされています。
今回のトカゲさん、後ろ足がおかしいということで来院されました。
レントゲン検査をするも、大きな異常は見つからず・・・原因が分からず血液検査をすることになりました。
その結果、尿酸の数値がとても高いことが分かりました。
僕らと異なり、爬虫類は蛋白質の最終代謝産物を尿酸という固形で排泄します。僕らは腎臓で尿を作る時に尿素として液体で排泄します。
しかしながら、遺伝的な背景も含みプリン体を過剰に摂取すると尿酸が蓄積し「痛風」となってしまうことも人間ではあります。
それに対し、爬虫類では腎臓が悪くなって、尿酸の排泄に支障をきたすと「痛風」になってしまうこともあります。
従って、爬虫類でも人間でも「痛風」の治療は同じお薬をつかうことがあります。検査と治療の甲斐もあってか、順調に尿酸の数値は下がって、元気になってくれました。(いまではまったく普通に歩いて元気で食欲もあります!)
今回ご紹介するのは、健康診断に来院されたサバンナモニターさんのお話です。
サバンナモニターは、比較的大きくなるトカゲの一種で、だいたい1m前後まで成長します。体重も1kg越えてくるので小型犬位の抱きごこちはあると思います。食性は肉食ですが、性格は案外おっとりで幼少期から一緒に過ごしていればかなり慣れてくれることから、比較的人気のある爬虫類の一種だと思われます。
ここ最近、体重が減少しているということで来院されたサバンナモニターさん。元気も食欲もあるということで、異常なのかどうか心配され一通り検査をすることになりました。
体重を計測して、触診や目や口の中などの視診と身体一般検査を実施したあとで、レントゲン検査、血液検査のための採血を実施しました。
この子はとても慣れており、検査にも終始協力的でした!
検査結果は特に大きな問題も無く、ご飯の与える量と回数を調整しつつ体重の増減を記録してもらい、自宅での経過観察となりました。
爬虫類はよく県外からお問い合わせの電話だけされるかたも多いのですが、実際に見てみて、こういった検査をしてみないことには分からないと思います(検査をしても分からない事も多いのですから・・・)。
今回ご紹介するのは、金属と石を食べてしまったケヅメリクガメさんのお話です。
最近はリクガメさんも温かい日はご家族で一緒にお出かけして、近所の公園をお散歩する姿も増えてきましたね。日本の気候では一年中というわけにはいきませんが、夏場だけとか期間限定でリクガメさんもお散歩するのもいいかもしれませんね。案外、早く歩いてくれる子も多いようですが、やはり僕らがお散歩のスピードを合わせてあげるか、または芝生などでお散歩している様子を眺めるのが実際のところかもしれませんね。
そんな中、リクガメさんの公園でのお散歩で気をつけなければならないのが異物の摂取です。リクガメはカルシウムを含むいくつかのミネラルを補うために石や砂を食べる事が一般的です。なので、公園にある小さな石や金属などを知らないうちに摂取していることがあります。
また、除草剤などがかかった草を知らない間に食べてしまうことも危険です。
こういったことはリクガメに限らずですが、お散歩で公園などをある程度自由にさせる場合、変なものを口にしていないかよく監視しておくことが大切です。
今回ご紹介するのは、脱皮不全になってしまったカメレオンさんのお話です。
爬虫類飼育において、カメや蛇などその他の爬虫類と比較するとカメレオンの飼育はなかなか難易度が高い方かもしれません。湿度・温度、餌の管理など、マニュアル化した飼い方がなかなかできないこともあります。
しかしながら、昔ほど状態の悪い個体も少なくなり、飼育方法も餌の供給も十分に整っており、案外爬虫類飼育初心者の方が既成概念が少なく素直に飼育管理して上手くいくのかもしれません。
脱皮不全の原因の多くは飼育環境に問題があると言われています。適切な温度と湿度を管理することがなかなか難しく、環境内に温度勾配を作ったり、昼夜で温度差を演出することが必要な場合もあります。一筋縄ではいかないかもしれませんが、それゆえにカメレオンの飼育は面白いと思います。
今回のショートホーンカメレオンさんもおそらく、たまたま環境があわず脱皮不全になってしまったのかもしれません。これまではそんなに大きな問題もなくここまで来ていますので、環境を確認にしてこのままアリオンシェッドで綺麗になるのを待ちます。
今回ご紹介するのは、くしゃみをして鼻の周りが赤くなっているヒョウモトカゲモドキさんのお話です
当院で来院される爬虫類の病気の多くは残念ながら、飼育環境に問題があって起こってしまう病気です。飼育温度、湿度、餌の問題、カルシウムやビタミンの不足、紫外線不足などなど。
まだまだ、飼育方法が確立していないとか、不明なところもあったりである程度仕方が無いというか試行錯誤が必要な部分もありますが、たいていに飼い主さんはある程度確立されているその飼育方法を知らなかったり、知っててもそれを管理する事ができなかったりで調子を崩してしまう爬虫類が多いように思います。
爬虫類飼育はペットの中では管理が難しい方に部類される動物だと思います。
本来の環境とは異なるところで人工的にそれを再現しなければなりません。
爬虫類の購入を検討されている人は、私たちや犬猫みたいなほ乳類とは大きくことなる生理学的特徴をもっている動物を飼おうとしていることを認識してその違いをよく勉強することをオススメいたします。
今回のヒョウモントカゲモドキさん、足先の脱皮不全を過去に繰り返していました。飼育湿度もやや高めなようでした。鼻先は脱皮不全のように皮膚がカサカサして、鼻の穴がなくなっていました。くしゃみがみられ、検査の結果細菌感染によるものが考えられました。
飼育環境の改善と投薬による治療をして2週間。大分良くなってくれました。
今回は異変がみられてすぐに連れてこられたのですぐに良くなってくれました。
飼育方法に不安がある方は是非、気軽にご来院くださいね。
今回ご紹介するのは、下顎に黄色いものが付着していたイシガメさんのお話です。
日本の固有種である日本石亀をみなさんはご存知でしょうか。
近所ではクサガメをみることはあれども、イシガメはなかなかないのではないでしょうか。その一方で外来種であるミドリガメならあちこちで見かけるのはもう当たり前になってしまいました。
きっと、イシガメをみようとしたらペットショップにでもいかないと難しいと思います。
そんなイシガメさんですが、冬眠せずにヒーターをいれて飼育していたのですが、下顎に白いできもののようなものがあるということで診察してみました。
みてみると、膿のような・・・検査してみるとやはり膿でした。
犬や猫、そして僕らの場合は、ばい菌が皮膚の下に入って膿が貯まってきたとしたらドロッとした液体状なのですが、カメさんはチーズのように固形の膿が形成されます。
切開して、膿を洗い流し、抗生剤の注射をしておしまい。
あとは、生活環境さえ綺麗にしていれば自然に治ってしまうとおもいます。
今回ご紹介するのは、皮膚が赤くなっているということで来院されたミドリガメさんのお話です。
この寒い冬になると日本にいるミドリガメさんの多くは冬眠しておりますが、飼育環境下では保温することによって活動を続けているカメさんもみられます。
そんなカメさんも冬になるとさすがに太陽光を直接浴びて、甲羅干しする機会がほとんど無くなってしまいますので、保温ライトや紫外線ライトを使用して人工的に甲羅干しができる環境にないと、甲羅の異常や皮膚炎などを起こしてしまいます。
ミドリガメさんの皮膚の色は黄色と黒の縞模様となっているのが正常です。
しかし、今回のミドリガメさんの皮膚の色は、本来黄色いところが全体的に赤くなっていました。
直接診て、そして触ってみます。
なんだかヌメヌメします・・・。
擦ってみると、赤いのが無くなって正常な黄色に戻ってきます。
なるほど・・・これは皮膚炎ではなさそうだ。
一応、顕微鏡で確認してみると剥がれ落ちた皮膚とそこには酵母菌が確認されました。おそらく、「赤カビ」と呼ばれるものではないかなと思われました。
これまたおそらくですが、風呂場やシンクに付着するヌメヌメでティッシュで拭くと赤色のやつ(ロドトルラという酵母)ではないでしょうか??
皮膚炎では「炎症」なので、皮膚が明らかに赤く充血しており、押すと一時的に正常な色になりますが、すぐに赤に戻ります。
柔らかい歯ブラシ等で優しく擦って綺麗にしてあげること、そして冬場でも活動しているのであれば、水を綺麗にしてあげる事と定期的に甲羅干しできる環境を整えてあげる事を提案して事なきを得る事が出来ました。
どの家庭でも風呂掃除はお父さんの役割のようですが、普段の家庭での仕事がこんなところで役に立つとは・・・風呂掃除をしていなければ皮膚炎だと誤診して無駄に抗生剤を投与していたかもしれません・・・
いえ、ちゃんと検査すればそんなことありません(多分)。