症例紹介

Case introduction
症例紹介の写真

上腕骨骨折


今回ご紹介するのは、骨が折れてしまったピグミースローロリスさんのお話です。

現在、比較的多く流通しているロリスは主に2種類あり、当院のスタッフでもあるスローロリスと今回ご紹介するピグミースローロリスです。 ピグミーは小さいという意味となりますので、スローロリスより少し体格が小さく、大人になってもだいたい500g前後にまでしかなりません。とても人気のある小型のおさるさんですが、ワシントン条約で飼育には制限がかかっており、非常に珍しいペットの一種となっています。

今回来院されたピグミースローロリスさんは10歳という、それなりに高齢のロリスさんで、ここ最近元気や食欲が低下しているということで来院されました。原因がわからないため、一通り触診や聴診など身体一般検査をしていくと、左の上腕骨をさわると右よりかなり腫れているのが分かりました。

こういうときは骨折、感染症、腫瘍などが疑われるため、まずはレントゲン検査を実施しました。その結果、上腕骨が骨折していました。 どうやら、保温のために使用していた湯たんぽの下敷きになったことがあるとわかり、その衝撃が骨折の原因となっていた可能性が考えられました。

このままでは骨がくっつかないことが多いので、できるだけ安静にて経過をみつつ、改善が無い場合も考えて手術の予定を組みました。

手術日当日。術前検査をして全身麻酔で手術に臨みました。まずは、骨の位置関係を確認するために、再度レントゲン検査を実施しました。そうすると、意外なことに、骨は順調に修復されているのが確認されました!!

手術は中止して、カルシウムなどの内服と安静で経過をみることに。

こういう風に何もしなくても勝手に治っていく動物を目の当たりにすると、動物の自己治癒力はすごいなぁと感心しつつ、僕らのやっていることのどれ位が実は治療ではなく無駄なことなのかなぁって思ってしまった症例でした。 (とりあえず、血液検査でも大きな異常はなく、元気になってくれたので良かった!)

上腕骨骨折の症状

なんとなく元気と食欲がないということで来院されたピグミースローロリスさ ん。いったい、どこがおかしいのだろうか・・・。ん?腕がはれているような・・

上腕骨骨折の症状

レントゲン検査をしてみると、左の上腕骨が折れていました!これは痛くて元気もなくなるはず。

上腕骨骨折の症状

今から全身麻酔で経過のレントゲン検査とそのまま骨折の整復手術を始めます。その前に、麻酔のリスクを評価する目的で血液検査をしましょう。ちょっと痛いけど我慢してね

上腕骨骨折の症状

手術前のレントゲン検査。上腕骨は少しずつ骨が修復され、腫れも引いてきま した。手術をせずこのまま安静で経過を見ても、骨はくっつきそうです。予定していた手術は中止にしましょう!

上腕骨骨折の症状

麻酔から醒めたピグミースローロリスさん。相変わらずつぶらな瞳で僕たちを 見つめています。何が起こったのかよくわからずちょっと眠そうです。

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